映画に感謝を捧ぐ! 「アナイアレイション-全滅領域-」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はアレックス・ガーランド監督の
「アナイアレイション-全滅領域-」に感謝を捧げようと思います。
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怪現象「シマー」の謎に迫る女性5人の運命を描いた本作は
鑑賞者を陰鬱な美とクールさに溢れた迷宮へと誘うSF映画であります。
状況設明の抑制&時系列操作の多用によって難解化したストーリー
絵画的映像美とモンスター映画的サービスがせめぎ合う演出
怪しさ&危うさに溢れたキャラクター造形が淡々と進行する光景は
私に「単純な物語を複雑に映像化する」
「映像的見せ場の為にストーリーを生成する」
「最小限度の人物数でSF+サスペンス的ムードを醸し出す」
「鑑賞者に主人公一行の混乱状態を共有させる」
手法の一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(万事解決のハッピー・エンドに見せかけつつ
登場人物の運命を「鑑賞者の想像力」に
委ねるかのような幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「陰性迷宮系美術館型SF」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
荒唐無稽な状況設定、回想と現実の境目を分かり難くする表現法
残酷な場面の抽象化、ストーリー展開の緩慢化
謎の解明を重視しない精神が一堂に会しながらも
一定の論理性&見世物的魅力を保ち続けようとする
バランス感覚に彩られた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。