映画に感謝を捧ぐ! 「ミルドレッド・ピアース(1945年版)」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はマイケル・カーティス監督の
「ミルドレッド・ピアース(1945年版)」に感謝を捧げようと思います。
ミルドレッド・ピアース [DVD] - ジョーン・クロフォード, マイケル・カーティス
ジェームズ・M・ケインの同名小説を
もとにして1945年に作られた本作は
堅実さと奇襲性が独特のバランスで並び立つ
愛憎劇であります。
母への憎悪故に富を求め
悪女人生を歩み続ける少女と
娘の邪悪さ&自分への憎しみを知りながらも
彼女を「自分の一部」として守ろうとする
本能に抗えない母の運命を
サスペンスと陰性ホームドラマの手法を
組み合わせながら写し出していく
ストーリー&演出、キャラクター造形は
私にどんでん返し主義と論理性
文学性と娯楽映画的サービス精神の両立を図りながら
女性の精神的強靱さ&魔性と
男性の繊細さ&自尊心を映画的に表現する試みの
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(悪女の敗北と家族の再生が並び立つ
渋味の利いた幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「家族劇型悪女映画」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
サスペンス調で幕を開けつつ
陰鬱なるホームドラマへと転じていく奇襲技と
女優陣の魅力を生かしつつ
適正なスケール感&スピード感で物語を進行させる
堅実さを兼ね備えた本作と
生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。