映画に感謝を捧ぐ! 「血に笑う男」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はローランド・V・リー監督の「血に笑う男」に
感謝を捧げようと思います。
血に笑う男 [DVD] - アン・ハーディング, ベイジル・ラスボーン, ビニー・ヘイル, ローランド・V・リー, アガサ・クリスティ, アン・ハーディング
アガサ・クリスティーの小説「ナイチンゲール荘」を
もとにして作られた本作は
軽やかで苦い皮肉に包まれた異常心理劇であります。
愛憎劇、推理劇、観光旅行映画の特性を
融合させる事によって生を受け
「突如として訪れた富」が人心に与える悪影響
戦争がもたらすトラウマ、夫婦関係に潜む心理戦要素を
写し出していくストーリーと
効率主義と技巧的映像&音楽表現を兼ね備えた演出が
一体となる光景は
私に「教訓性と推理小説性による共同戦線」と
殺人描写に依存しないスリル&サスペンス生成術の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(「毒をもって毒を制す」という諺を体現したかのような
幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「異常心理系夫婦劇入門」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
物欲と衝動のせめぎ合い、男女の心理的相違点に対する一考察
観光旅行風味、反戦メッセージが絡み合う本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。