映画に感謝を捧ぐ! 「ポネット」
映画弁護人GHM(西村哲也)です。
今回はジャック・ドワイヨン監督の「ポネット」に
感謝を捧げようと思います。
ポネット [DVD] - ビクトワール・ティビゾル, ジャック・ドワイヨン, ビクトワール・ティビゾル, マリー・トランティニャン, グザヴィエ・ボーヴォワ
事故で母を失った少女「ポネット」と
彼女を取り巻く人々の運命を描いた本作は
静かなる人情味&神秘性に彩られた女性映画であります。
母への愛故に現実と幻想が交錯する
世界を生きる少女の姿を
娯楽映画的盛り上げ&状況説明的表現を極限まで抑制し
静かに写し出していくストーリー&演出、キャラクター造形は
私に「純文学と童話が静かに融合した」作品世界と
子供心と大人心のせめぎ合いを映画的に表現する手法の
一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。
(少女と父親の「新たなる旅立ち」を遠くから見守るかのような
佇まいを追求した幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「フランス流日常系死生論」の一翼を担う
作品であると言えるでしょう。
「童話の挿絵」的映像美と技巧的描写を兼ね備えた映像技と
日常劇的緩やかさ、文学的表現法
生と死、親と子の関係に関する一考察を
バランス良く配合した作劇法によって
怪談的な方向に進みやすい題材から
渋味と人情味に溢れた物語を生み出すことを可能にした本作と
生きて映画を見ることのできる幸せに深い感謝を!!!。