映画に感謝を捧ぐ! 「血染の代紋」

 映画弁護人GHM(西村哲也)です。

 今回は深作欣二監督の「血染の代紋」に

 感謝を捧げようと思います。

東映任侠映画DVDコレクション 88号 (血染の代紋) [分冊百科] (DVD付) (東映任侠映画傑作DVDコレクション)
東映任侠映画DVDコレクション 88号 (血染の代紋) [分冊百科] (DVD付) (東映任侠映画傑作DVDコレクション)

 浜安組の組長となった男「郡司」と

 彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は

 王道性と反王道性がぶつかり合う和製極道映画であります。

 様々な夢&忠誠心を抱きつつ

 高度成長時代に翻弄されていく男たちの悲劇を

 東映任侠映画の王道に即して進行しつつ

 王道的見せ場を皮肉るかのような

 

 ストーリー&演出、キャラクター造形によって

 写し出していくという試みは

 私に「日本社会の過渡期」を極道映画的に描いていく手法と

 量産的映画作りと作家性重視的映画作りによる

 せめぎ合いの一形態を目の当たりにする機会をもたらしました。

 (敵将も「高度成長」に翻弄された存在に過ぎないことを

 示すかのような幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「葛藤系任侠映画」の一翼を担う

 作品であると言えるでしょう。

 任侠映画的勧善懲悪に従って進むかのように見せかけて

 正義と悪の二元論を超越した領域へと向かっていく事によって

 後年の深作欣二監督作に通じる

 「反任侠の息吹」を放つ存在の一つとなった本作と

 生きて映画を観ることのできる幸せに深い感謝を!!!。