映画に感謝を捧ぐ! 「未来世紀ブラジル」

 映画感謝人GHMです。

 今回はテリー・ギリアム監督の「未来世紀ブラジル」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 政府の情報処理局に勤める男の

 奇妙な冒険を描いた本作は

 意地悪な笑いとファンタジー風味に包まれた作品であります。

 悲劇的な状況をドタバタ・コメディの如く表現する喜劇精神

 各国の文化が混ざり合ったかのような舞台・衣装・小道具の数々

 

 夢を追い求める精神と現実から目を背ける小市民根性を

 共有する存在として描かれた主人公

 状況説明を最小限度にとどめ、曖昧さを保ち続けるすることによって

 「虚実の間をさまよう」感覚を生じさせることに成功したストーリーが一体となって

 「夢を現実に近づけようとする人間に対する複雑な思いと

 現代社会への警鐘が一体となった近未来SF」が形成されていく姿は

 私を「可笑しくも恐ろしい異世界」へと誘ってくれました。

 (「ハッピー・エンド」を願う心理と現在の社会状況を皮肉な形で

 表現したかのような終幕も印象的です。)

 本作こそ「SFは虚構の中に世の真実を写し出してこそ輝く」ことを

 象徴する作品であると言えるでしょう。

 

 絵画的な映像感覚とヨーロッパ風味のブラック・ユーモア

 満ちあふれた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。