映画に感謝を捧ぐ! 「タクシードライバー」

 映画感謝人GHMです。

 

 今回はマーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 不眠症タクシードライバーが織りなす

 

 奇妙な日常を描いた本作は

 悪魔的な魅力と社会性を宿した危険作であります。

 時代の空気を巧みに取り入れつつ

 虚実の間を曖昧にして進行するストーリー

 (1970年代の映画でありながら現代的感覚にあふれている点に驚かされました。)

 ファンタジーとリアリズムが混在する演出法

 (「主人公の主観」に重きを置くことで、現実と妄想の境目を

 判りづらくしている点が素晴らしいです。)

 主演男優R・デ・ニーロによる「壮絶なる一人芝居」

 上品でありながら不気味な気配を放つ音楽が一体となる姿は

 私に「1970年代のアメリカに満ちあふれた空気」と

 「解釈の自由を与えてくれる物語の素晴らしさ」を

 同時体験する機会を与えてくれました。

 (「正義」に対する痛烈な嫌みと静かなる悪意を感じさせる終幕も見逃せません。)

 まさに「私小説風味の不条理文学映画」と呼ぶにふさわしい

 作品であると言えるでしょう。

 同年の話題作「ロッキー」のネガティブ版と解釈したくなるような佇まいと

 (本作の脚本家P・シュレイダーとS・スタローンの

 「人生観」の差によるものと思われます)

 映画全体を覆う不快感が快感に転じていく様が

 私の心身に大いなる衝撃を与えた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。