映画に感謝を捧ぐ! 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
映画感謝人GHMです。
今回はポール・トーマス・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」に
感謝を捧げようと思います。
アプトン・シンクレアの小説「石油」をもとにして作られた本作は
強固な「負のエネルギー」を感じさせる作品であります。
西部劇を思わせるような自然美と炎へのこだわりに満ちた映像美
人間の手による行為「金儲け」が
人間を操るモンスターと化していく姿を
不条理性と説得力を調和させながら描いたストーリー
(「状況・心情を台詞で説明する」手法を最小限度にとどめることによって
鑑賞者に「想像の余地」を与えている点も素晴らしいです。)
共感や同情をかたくなに拒む存在として生み出されたキャラクター
主演男優D・デイ・ルイスの「悪魔的熱演」&伝道師役P・ダノの「偽善系演技」の妙
(特に教会&ボーリング室での対決!)
格調高くも異様な雰囲気を持った音楽が一堂に会する姿は
私を「美と悪意が交錯する世界」へと誘ってくれました。
(動から静に転ずる呼吸と残忍な静寂に圧倒させる終幕も見逃せません。)
まさに「不条理文学映画」の究極形態と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。
映画史上最大級の「醜悪なアメリカン・ドリーム」を達成した人物を
冷徹なる魂を持って描いた本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。