映画に感謝を捧ぐ! 「バリー・リンドン」

映画感謝人GHMです。

 今回はスタンリー・キューブリック監督の「バリー・リンドン」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ウィリアム・メイクピース・サッカレーの同名小説を

 もとにして作られた本作は

 華麗にして意地悪な歴史大作であります。

 波瀾万丈の人生を冷徹な目線で描いていく精神力

 (登場人物を突き放した作劇法であるにもかかわらず

 「主人公の動機付け」に対する最新の配慮が成されている点も素晴らしいです。)

 「華やかにして空しい」貴族社会と自然界の「素朴な美しさ」を

 絶妙の色彩・映像技で写し出す技術力

 (「蝋燭」という小道具の持ち味を最大限に生かしている点も素晴らしいです。)

 俳優・女優陣の「静かなる熱演ぶり」が一堂に会する光景は

 私に「上流社会の閉鎖性」・「己を信じ、乱世を渡り歩く人間の情熱と孤独」

 「名誉なき富の空しさ」を目の当たりにする機会をもたらしました。

 本作こそ「人間の歴史は善悪の枠を超えた存在である」ことを

 世に示そうとする作品であると言えるでしょう。

 動乱の中世ヨーロッパに生きる人々を

 史劇と滑稽劇を融合させたかのように描いた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。