映画に感謝を捧ぐ! 「セルピコ」

映画感謝人GHMです。

 今回はシドニー・ルメット監督の「セルピコ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 

 ピーター・マースが執筆したフランク・セルピコ刑事の伝記を

 もとにして作られた本作は

 「正義の警官」を冷徹な目線で描いた過激作であります。

 組織的腐敗と戦う主人公を非英雄的に描き

 腐敗側にも一定の正当性を持たせることによって

 鑑賞者を「善悪の垣根が崩壊しつつある世界」へと引きずり込んで行くストーリー

 実録的な表現法で「街の空気」を写し出した映像

 主演男優A・パチーノの放つ「静かなる熱気」が一堂に会する光景は

 私に、「汚職を容認しても社会的弊害はない」という考えと

 その考え方に対する強い嫌悪が同時発生する感覚と

カーチェイス・銃撃戦・モンスターとは異なる形状の「恐怖」を

 もたらしました。

 (「正義の勝利」であるにもかかわらず「ハッピー・エンド」を感じさせない幕切れが

 

 現実が「愉快痛快さの失われた世界」であることを示している点も見逃せません。)

 まさに、警察映画史上最大級の「非情さ」を持って

 鑑賞者の正義を問う実話系映画であると言えるでしょう。

 「状況限定映画の帝王」S・ルメット監督の才気と

 70年代のアメリカを覆う「権力&ハッピー・エンドに対する不信感」が力を合わせる事によって

 「組織腐敗の公式」を世に示した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。