映画に感謝を捧ぐ! 「普通の人々(1980年版)」

映画感謝人GHMです。

 今回はロバート・レッドフォード監督の「普通の人々(1980年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 ジュディス・ゲストの小説「アメリカのありふれた朝」を

 もとにして作られた本作は

 冷徹にして穏やかな「家庭崩壊劇」であります。

 平均的な日々を生きる家族の内側で進行していく「精神的死病」を

 サスペンス描写と日常描写のバランス感覚を保ちながら描くという試みは

 私に「ありふれた日常の中にこそ物語の種子が宿っている」という真理と

 「逆境によって人間の内面をさらけ出されていく」光景を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (M・タイラー・ムーア&T・ハットンの熱演を影で支えるD・サザーランドの「裏方精神」と

 絶望と希望の入り交じった幕切れが

 作品の現実感と恐怖を高めている点も見逃せません。)

 本作こそ「R・レッドフォード氏の多才ぶりと社会派精神」が

 本格的に開花した作品であると言えるでしょう。

 「家族の崩壊と再生を描いたホームドラマ」の仮面をまといながら

 「ムードメーカーの喪失によって組織の潜在的病理が明かされていく」姿を

 世に示した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。