映画に感謝を捧ぐ! 「レイジング・ブル」

 映画感謝人GHMです。

 今回はマーティン・スコセッシ監督の「レイジング・ブル」に

 感謝を捧げようと思います。

 

  ジェイク・ラモッタの自伝をもとにして作られた本作は

 ボクシングよりもボクサーを描くことに重きを置いた実話系映画であります。

 

 男性的本能と身体能力に魂を奪われた男がつかみ取った栄光と孤独を

 残酷描写・映像技・の限りを尽くして表現した演出

 (白黒とカラーを巧みに使い分けている点や

 重要な試合以外は意図的に省略する潔さも素晴らしいです。)

 実話系映画にありがちな「映画的美化」を最小限度にとどめ

 主人公の醜悪さ&ショー・ビジネスの暗部を堂々と描いた脚本

 (同時に、「男性の悪しき部分」を象徴するかのような主人公に秘められた哀愁にも

 目を向けた作りとなっているという印象を受けました。)

 「対戦相手と醜悪な自分自身を打ちのめすための場所」であるかのような

 空気を放つファイト・シーンの数々

 (「アクション映画」とは異なる迫力と文学性を持ったファイト・シーンであるという

 印象を受けました。)

 主演男優R・デ・ニーロの「憑依的熱演」

 (五体の限りを尽くして「人生の栄枯盛衰」を映し出すその姿は

 ホラー映画とは異なる形態の「怪物」であると評さずにはいられません。)

 顔力あふれる共演者たちが一堂に会する光景は

 私に「欠点だらけの人間を愛すべき存在として描く」ことが

 「善人をヒーローとして描く」事よりも遥かに困難であると同時に

 

 偉大でもあることを示してくれました。

 (M・スコセッシ監督&R・デ・ニーロ&J・ペシの黄金トリオを結びつけるという

 「映画史的貢献」を果たした作品であるという点も見逃せません。)

 本作こそ、実話系映画史上最大級の「凶暴さと繊細さ」を宿す

 作品であると言えるでしょう。

 「タクシードライバー」の監督・脚本家・主演男優と

 「ロッキー」の制作者コンビの融合によって生を受けた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。