映画に感謝を捧ぐ! 「ゴルゴダの丘」

 映画感謝人GHMです。

 今回はジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「ゴルゴダの丘」に

 感謝を捧げようと思います。

 

新約聖書に記されたイエス・キリストの最期を

 もとにして作られた本作は

 宗教映画と社会派映画の属性を兼ね備えた異色作であります。

 「救世主」の実態を曖昧に写し

 特殊効果と群衆シーンをバランス良く配合することによって

 CG満載の現代とは異なる「神秘性」をもたらすことを可能にした映像技と

 宗教的メッセージを最小限度にとどめ

 宗教の持つエネルギーと危うさ・権力者の猜疑心と大衆の付和雷同性が

 融合することによって生じる「社会的狂気」を重視したストーリーが

 一体となる光景は

 私に「本人の意図を無視して、情報が一人歩きすることの恐怖」・「人間の心中に宿る暴力的衝動の存在」を

 再認識する機会をもたらしました。

 (サイレント・トーキー・白黒映像の長所を有効活用した作りとなっている点も見逃せません。)

 まさに「神話性と社会性が一体となった」実話系映画であると言えるでしょう。

 歴史大作的な作風の中にホラー映画とは異なる残酷さと

 サスペンス映画とは異なるスリルを宿した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。