映画に感謝を捧ぐ! 「チャンス(1979年版)」
映画感謝人GHMです。
今回はハル・アシュビー監督の「チャンス(1979年版)」に
感謝を捧げようと思います。
ジャージ(イエールジ)・コジンスキーの小説「庭師/ただそこにいるだけの人」を
もとにして作られた本作は
「風刺系喜劇」の歴史に燦然と輝く強豪作であります。
映画史上最大級の「つかみ所のなさ」を誇る主人公と
彼を取り巻く人々の間に発生した「意思疎通のズレ」を
違和感を感じさせることなく描写する事を可能にした作劇的バランス感覚
主人公の背景&現在の状況に対する説明をほとんど行わないことによって
鑑賞者の想像力を刺激する文学的表現法。
ドタバタ喜劇的な誇張を避け、童話風味と現実感を程よく配合した演出技
ベテラン俳優・女優陣が織りなす「掛け合いの妙技」が一堂に会する光景は
私に「言葉と行動は解釈次第でいかようにも変化する」・「人間は謎に魅了される動物である」事を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「TV番組に対するこだわり」を通じて情報化社会の危うさを写し出している点も見逃せません。)
本作こそ「品格・技巧・社会性が三位一体となった」喜劇映画であると言えるでしょう。
ユーモラスな雰囲気をまといながら鋭い風刺の刃を放つ本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。