映画に感謝を捧ぐ! 「私は告白する」

映画感謝人GHMです。

 今回はアルフレッド・ヒッチコック監督の「私は告白する」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ポール・アンセルムの戯曲「Nos Deux Consciences」を

 もとにして作られた本作は

 「巻き込まれサスペンス」の方程式を文学的に加工した異色作であります。

 一件の殺人事件を通じて「神の掟と俗世の掟のせめぎ合い」・「精神と肉体の関係」

 「疑わしきは罰せず」精神を貫くことの難しさを世に示そうという作劇的実験は

 私に「サスペンス映画の持つ可能性」・「犯罪者の心理」・「宗教と社会との関係」について

 考えさせられる時間をもたらしました。

 (トーキー映画であるにもかかわらず「サイレント的表現法」を違和感なく挿入している点や

 勧善懲悪的な決着であるにもかかわらず、「正義の勝利」を感じさせない

 複雑な幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「純文学系サスペンス映画界」の強豪と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。

 一作品の中にメロドラマ・心理学・宗教論・犯罪劇を共存させるという

 離れ業に挑んだ本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。