映画に感謝を捧ぐ! 「死の追跡」

映画感謝人GHMです。

 今回はバリー・シアー監督の「死の追跡」に

 感謝を捧げようと思います。

 妻子を殺した強盗団を追ってメキシコへとやってきた

 保安官の運命を描いた本作は

 挑発的な空気を宿す復讐西部劇であります。

 法治主義・勧善懲悪劇・アメリカ的価値観を

 意地悪く皮肉ったかのように進行するストーリーと

 暴力の醜悪さを生々しく表現した「アメリカ西部劇らしからぬ」演出法が一体となる光景は

 私に、イタリア西部劇の気風と1970年代のアメリカ映画のもつ「反骨精神」が

 西部劇の歴史に与えた影響を体感する機会をもたらしました。

 (主演男優R・ハリスの放つ「西部劇ヒーローらしからぬ気配」は

 「西部劇の王道的終幕」を痛烈に皮肉った、壮絶にして冷酷な幕切れが

 「勧善懲悪系西部劇の終焉」を暗示しているも見逃せません。)

 まさに「西部劇映画界の反逆児」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 闘いのスリルや勧善懲悪の爽快感に背を向けて

 「正義の空しさ&人間の弱さ」を前面に打ち出した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。