映画に感謝を捧ぐ! 「カリートの道」
映画感謝人GHMです。
今回はブライアン・デ・パルマ監督の「カリートの道」に
感謝を捧げようと思います。
エドウィン・トレスの同名小説&「それから」を
もとにして作られた本作は
極道映画屈指の苦味と技巧性を誇る作品であります。
麻薬売買の世界において「成功者」となりながら
新しい人生を求めた男の情熱と呪いを
偽善や説教に溺れる事なく冷徹に描いたストーリー
残酷性と技巧的映像表現を絶妙のバランスで融合させた演出
主演男優A・パチーノの全身よりにじみ出る凶暴性&哀愁
弁護士役S・ペンの壮絶なる七変化&脇役陣の壮絶なる名演ぶり
サスペンス性と悲哀をかき立てる音楽が一堂に会する光景は
私に「悪徳によって得た成功と絆の空しさ」・「極道稼業の麻薬性」
「悪人でありながらも魅力的な人物を生み出す作劇的妙技」の醍醐味を
体感する時間をもたらしました。
(冒頭で「結末」を明かしているにもかかわらず
サスペンスとしてのスリルと恐怖を保ち続けている点も見逃せません。)
まさに「悪徳の底なし沼でもがき苦しむ人間たち」を
凶暴性と繊細さを兼ね備えた形で表現した作品であると
言えるでしょう。
映像テクニックと人間味が互いの個性を尊重し合うことによって
文学性と娯楽性を兼ね備えた極道映画となった本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。