映画に感謝を捧ぐ! 「ホテル・ニューハンプシャー」

 映画感謝人GHMです。

 今回はトニー・リチャードソン監督の「ホテル・ニューハンプシャー」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ジョン・アーヴィングの同名小説をもとにして作られた本作は

 過激さと品格が共存する、異色の家族劇であります。

 一家族の運命を通じて「社会と人生の持つ不条理性&残酷さ」を白日の下にさらすという

 挑発的なストーリーであるにもかかわらず

 派手な残酷描写・性描写に依存せず

 冷静且つユーモラスに物語を進行させていくことを可能にした

 スタッフ・キャスト陣の精神力・技術力・品性は

 私に「社会の禁忌をえぐり出すこと」と「上品さとユーモアを維持し続けること」が

 共存可能であることを示してくれました。

 (「早送り」を有効活用することによって生成されるアクション・コメディ的空気や

 ハッピー・エンドと悲劇の中間に立つかのような幕切れが

 作品の毒気を緩和し、コミック的親しみやすさを生み出している点も見逃せません。)

 まさに「純文学風味のホームドラマ」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 膨大なる情報量・キャラクターを巧みに操ることによって

 人生のドラマ性と男女関係の神秘性を最大限に発揮した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。