映画に感謝を捧ぐ! 「モンスター(2003年版)」
映画感謝人GHMです。
今回はパティ・ジェンキンス監督の「モンスター(2003年版)」に
感謝を捧げようと思います。
連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの生涯をもとにして作られた本作は
醜悪さと哀しみに満ちあふれた実話系映画であります。
不運の連鎖と危険な環境が生み出した「怪物」に心を蝕まれながら
ただ一つの愛によって「人」であることを保ち続けた女性の姿を
「好感の持てる登場人物をほとんど登場させない」キャラクター造形
人間社会の暗部を総動員しながらも「情と哀愁」を感じさせるストーリー
素朴さ・軽妙さ・猟奇性が融合した演出&音楽によって描くという試みは
私に「環境&習慣」が人間に与える影響と「愛と凶暴性の類似点」を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(主演女優C・セロン&C・リッチの五体より発せられる妖気と
宗教映画的な神秘性を放つ幕切れが
作品の凶暴性と文学性を高めている点も見逃せません。)
本作こそ「ホラー映画とは異なる怪奇恐怖と恋愛映画とは異なる愛に満ちた」
女性映画と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。
美しい理想と残忍な現実が混ざり合うことによって生じた
「精神的底なし沼」でもがき苦しみながら「危険な絆」を育んでいく女性二人の姿が
静かなる恐怖と背徳的感動を呼び起こす本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。