映画に感謝を捧ぐ! 「時計じかけのオレンジ」

映画感謝人GHMです。

 今回はスタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 

 アンソニー・バージェスの同名小説をもとにして作られた本作は

人間社会の理と文化・芸術の歴史を意地悪く挑発する

 脅威の近未来SF映画であります。

 野性的本能より生じる悪・名誉心より生じる悪・正義漢より生じる悪

 無関心より生じる悪が一堂に会しながらも

 背徳的な魅力に満ちあふれた危険なストーリー

 (主人公の語りによって進行しているにもかかわらず

 説明過多を感じさせない作りとなっている点も印象的です。)

 主演男優M・マクダウェルの「鬼気迫る七変化ぶり」

 怪奇風味漂う登場人物たち

 ミュージカル映画の名作・クラシックの名曲を

 大胆不敵な形で活用する挑戦的精神

 技巧的かつ過激な映像技が一体となる光景は

 私に「悪」という存在の持つ引力・「選択」という存在の重み

 「善と悪はカードの表裏である」という恐るべき真理を

 体感する機会をもたらしました。

 (奇抜でありながらも意思の疎通を可能とする独自の言語や

 「悪の勝利」を不条理文学的に表現した幕切れへと着地することによって

 痛快感と不快感が共存する感覚をもたらしている点も見逃せません。)

 まさに「SF映画史上最大級の純文学的怪物」と呼びたくなる

 作品であると言えるでしょう。

 一本の映画でありながら「神の如くあがめ奉られながら

 悪魔の如く忌み嫌われる」事を可能にした本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。