映画に感謝を捧ぐ! 「LOSS ロス」

映画感謝人GHMです。

 今回はダン・ターナー監督の「LOSS ロス」に

 感謝を捧げようと思います。

 自分自身に関する記憶を失った男女2人の運命を描いた本作は

 閉塞感と苦味に満ちた記憶喪失映画であります。

 映画史上屈指の「受動性」を誇る男女と

 テクニカルな仕掛けと定番的な目的を兼ね備えた陰謀者の姿を

 実録的表現法と幻惑的表現法を使い分けながら描くという試みは

 私に「謎は解き明かされるまでの過程を楽しむためにある」

 「テクノロジーの進化と精神の進化は比例しない」という皮肉な真実を

 体感させられる機会をもたらしました。

 (悲劇的且つ歯切れの悪い幕切れが「人生に対する意地悪なユーモア」として

 機能している点も見逃せません。)

 まさに「竜頭蛇尾系陰謀SF」の一形態を示した作品であると言えるでしょう。

 娯楽的盛り上げを抑制し、「主人公が謎を解明する」というサスペンスの法則を否定する

 大胆極まる手法に挑む挑戦者精神が

 ある種の「人生論」を生み出す光景に驚かされる本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。