映画に感謝を捧ぐ! 「陽のあたる場所」
映画感謝人GHMです。
今回はジョージ・スティーブンス監督の「陽のあたる場所」に
感謝を捧げようと思います。
セオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇」をもとにして作られた映画の
2作目となる本作は
映像&作劇技と社会性を兼ね備えた過激作であります。
アメリカ映画流恋愛劇&サクセス・ストーリーの王道に
自由・平等を謳うアメリカ社会に秘められた「格差」と
精神と行動の関係に対する一考察を加えることによって生み出された物語を
過激な暴力&性描写を抑制し
白黒映画特有の陰影を生かした映像表現と
台詞よりも表情&動作によって心情を語る手法によって描くという試みは
私に、アクション映画やホラー映画とは異なる「心理的恐怖」と
映像表現・ストーリーに対する倫理的規制の枠に縛られながら
「人間と社会の暗部」を表現する妙技を目の当たりにする機会をもたらしました。
(主演男優M・クリフトより発せられる「善人の気配」が
「善悪の間で揺れ動く」主人公の精神を鮮明に写しだしている点も見逃せません。)
まさに「恋愛悲劇の仮面を纏った精神&社会論」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
恋愛映画&青春映画特有の偽善性を廃し
人間の精神・アメリカ社会の実情に忠実であろうとしたストーリーと
穏やかさ&華やかさの中に「不吉の陰」を宿した映像が
静かなる恐怖と哀愁を呼び起こす本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。