映画に感謝を捧ぐ! 「殺人狂時代(1947年版)」
映画感謝人GHMです。
今回はチャールズ・チャップリン監督・主演の「殺人狂時代(1947年版)」に
感謝を捧げようと思います。
家族を養うために殺人者となった男「アンリ・ヴェルドゥ」の
運命を描いた本作は
娯楽性と文学性を融合させながら
悪と善の微妙な関係に踏み込んだ過激作であります。
「犯罪をドタバタ喜劇風に表現する」・「殺人シーンを巧みに抽象化する」
「悪の魅力と哀愁をバランス良く配合することによって
悪辣な主人公を憎みがたい存在に仕立て上げる」狡猾さと
「黙して語る場面と台詞で語る場面を使い分ける」娯楽的戦略性を駆使して
「小さな悪は断罪され、大きな悪は正当化される」・「戦争は害悪であると同時に、有益な事業でもある」
「人間が作った経済システムが人の心を操る」という残酷な真実を
白日の下にさらけ出そうという恐るべき実験は
私に「悪は善よりも世界の真実に近づける」という残酷な真実と
喜劇映画が「笑い話」を超越した存在と化していく光景を目の当たりにする機会をもたらしました。
(「悪の敗北=正義の勝利」ではないことを暗示する変化球的な幕切れが
作品のメッセージ性と余韻を高めている点も見逃せません。)
本作こそ「ダーク系チャップリン喜劇」の究極形態と呼ぶにふさわしい
作品であると言えるでしょう。
「米国映画史上最大級の異端児」C・チャップリン&O・ウェルズの
技術力&悪の精神力によって生み出された
「人間社会の暗部を体現する青ひげ男」の勇姿?に圧倒される本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。