映画に感謝を捧ぐ! 「未知への飛行 フェイル・セイフ」

映画感謝人GHMです。

 今回はシドニー・ルメット監督の「未知への飛行 フェイル・セイフ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

ユージン・バーディクとハーベイ・ホイラーの小説

 「未確認原爆投下指令/フェイル・ セイフ」をもとにして作られた本作は

 派手なアクションや残酷描写をほとんど用いることなく

 核戦争&テクノロジー至上主義の恐怖を世に示した作品であります。

 人間が作り出したテクノロジー&軍事システムが

 人間の制御を離れ、暴走することによって生じる悲劇を

 極限までに限定された空間と

 娯楽的盛り上げを抑制し、舞台的ムードを追求した映像表現を駆使して描くという試みは

 

 私に、ホラー映画とは異なる形の「怪奇恐怖」

 「戦争の気配が高まる中で理性を保つこと」の難しさ

 「空間的制約によって精神&思考が限りなく広がっていく」光景を

 体感する機会をもたらしました。

 (良心と欺瞞性が交錯する政治家の姿

 「強硬的な文民と穏健な軍人」という逆転の発想

 残酷極まる状況をクールに表現した終幕

 安心感と怪しさが半ばする「エンドロール後の解説」も見逃せません。)

 まさに「政治的&軍事的モンスター映画」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 

 空間限定映画&社会派映画の名手S・ルメット監督と

 スタッフ・キャスト陣の技術力&精神性が

 1964年の映画「博士の異常な愛情」とは異なる気配を放つ

 「核戦争の危機」を生み出す姿に圧倒される本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。