映画に感謝を捧ぐ! 「ボクサー(1970年版)」

映画感謝人GHMです。

 今回はマーティン・リッド監督の「ボクサー(1970年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ハワード・サックラーの実話系戯曲をもとにして作られた本作は

 プロスポーツ界とアメリカ社会の暗部を

 白日の下にさらけ出した過激作であります。

 強靱な肉体と自由を求める精神によって

 「人種のるつぼ」アメリカとの闘いの日々に身を投じたボクサーの運命を

 ドキュメンタリー的映像表現と「台詞による説明」をほとんど行わない作劇法によって

 描くという試みは

 私に、アメリカを覆う「不寛容なる空気」

 プロスポーツ界の「秘めたる暗黒面」

 「自由」という存在の恩恵とリスクについて目の当たりにする時間をもたらしました。

 

 (J・アール・ジョーンズ&J・アレキサンダーの「熱気と狂気に満ちた」熱演と

 「プロスポーツの世界に生きる人間の宿命」を残酷且つリアルな形で示した終幕も

 見逃せません。)

 まさに「実話系映画」史上最大級の冷徹さに満ちた作品であると言えるでしょう。

 登場人物に対するクールな目線を失うことなく

 闘いに生きる人間の抱える孤独感と異人種交流の難しさを描ききった

 スタッフ・キャスト陣の精神力&技術力に圧倒される本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。