映画に感謝を捧ぐ! 「フライトプラン」

 映画感謝人GHMです。

 今回はロベルト・シュヴェンケ監督の「フライトプラン」に

 感謝を捧げようと思います。

  

 旅客機内で失踪した娘を捜す

 主人公の運命を描いた本作は

 2000年代のアメリカを覆う「空気」を象徴する

 巻き込まれサスペンス映画であります。

 独善的&人種差別的態度によって

 サスペンス史上最大級の「同情し辛い被害者」となった主人公

 旅客機を舞台にしながら「人間模様」を最小限度にとどめる事による

 物語の簡素化

 段階的に神秘性を縮小し、暴力性を拡大する手法

 スパイ活劇における「要塞」級のスケール感&テクノロジーを誇る舞台が 

 一体となる光景は

 私に「2000年代のアメリカ」が中東への敵意・個人史上主義

 自制心なき防衛意識に支配されていることを目の当たりにする

 機会をもたらしました。

 (無理矢理感あふれる「真実」と

 万事解決のハッピー・エンドでありながらも不快な後味を残す結末が

 2000年代以降の複雑な世界情勢&失踪系サスペンスにおける理由付けの難しさを

 示している点も見逃せません。)

 まさに「心ならずも社会派映画級のメッセージ性を有してしまった娯楽映画」と

 呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 テロリスト級の論理と行動力を誇る主人公の暴れぶりと

 時間と共に精彩を欠いていく敵役が

 他の勧善懲悪映画とは異なる気配を放つ本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。