映画に感謝を捧ぐ! 「悪い種子」
映画感謝人GHMです。
今回はマービン・ルロイ監督の「悪い種子」に
感謝を捧げようと思います。
ウィリアム・マーチの同名小説をもとにして作られた
マクスウェル・アンダーソンの戯曲を映画化した本作は
後年のホラー映画&サスペンスに対する道しるべとなった過激作であります。
子供の外見と大人の頭脳を兼ね備えた殺人者「ローダ」を
悪役ではなく「我々とは異なるルールによって動く存在」として描くという発想と
ローダに扮したP・マコーマックの「七変化ぶり&モンスター的存在感」が
舞台風味あふれる穏健な演出法に
心理学的怪奇恐怖と背徳の魅惑を注入していく光景は
私に「純真なる魂」が持つ暗黒面と
現代のホラー映画とは異なる形を持った「猟奇性」に満ちあふれた時間をもたらしました。
(論理性よりも倫理性を重視せざるを得ない事情によって生み出された
「勧善懲悪的決着&和やかなエンドロール」が
1950年代のアメリカ映画事情と
時代を先取りしすぎた映画の悲劇を体現している点も見逃せません。)
本作こそ「時代の先を行く目線」と「世界の真実に迫ろうとする意志」を
持った作品であるが故の孤独を背負った
サスペンス映画であると言えるでしょう。
作品世界を覆う「猛毒」を消し去るための改変が為されてもなお
打ち消せぬほどの毒性によって
鑑賞者の精神を揺るがすほどの「トラウマ力」を放つ本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。