映画に感謝を捧ぐ! 「ザ・ダメージ」

 映画感謝人GHMです。

 今回はジェフ・F・キング監督の「ザ・ダメージ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 過去を償うため、地下格闘技界に身を投じた男と

 仲間達の運命を描いた本作は

 軽量アクション映画として生を受けながら

 想定外の深みを有してしまった作品であります。

 自分自身の「暴力性」に対する罪悪感と

 仲間への信義と少女の命のために戦わなければならない「宿命」の間で

 揺れ動く心境を

 台詞や芝居ではなく「肉弾戦」によって演じた主演男優S・オースティンの勇姿

 勧善懲悪要素やアクション映画的快感を最小限度にとどめ

 「暴力と人情」を描く事にこだわったストーリー

 ホラー映画級の流血が一体となる光景は

 私に、肉体言語の持つ可能性の大きさと

 「暴力の持つ中毒性」・「善悪では割り切れない人間の心」を

 社会派的説教臭を感じさせることなく描く手法の1形態を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (「万事解決のハッピー・エンド」でありながらも暗い影を秘めた

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに2000年代流「陰性アメリカン・ドリーム映画」と

 呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 

 サイレント・西部劇・格闘技映画・極道映画・プロレスの魂が

 奇妙なバランスで共存することによって

 驚異的な成長を遂げた本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。