映画に感謝を捧ぐ! 「生贄(1994年版)」

映画感謝人GHMです。

 今回はマルコ・リージ監督の「生贄(1994年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ローマで発生したレイプ事件をもとにして作られた本作は

 実話系映画史上まれに見る「つかみ所のなさ」を誇る怪作であります。

 レイプ・殺人・人種差別といったセンセーショナルな要素を含みながら

 社会派・ポルノ・サスペンスを淡々と渡り歩くかのように進行するストーリー&演出は

 私に「人間の持つ社会的&肉体的欲求」が総動員する事によって生じる混沌と

 「悲劇をエンターテインメント化してしまう」娯楽業界&鑑賞者の宿命を

 体感する機会をもたらしました。

 (勧善懲悪的でありながらも爽快感を感じさせない幕切れが

 人間社会が「善悪で割り切ることの出来ない存在」であることを

 暗示している点も見逃せません。)

 まさに「冷徹なるバイオレンス&エロティシズムに支配された」

 実話系映画であると言えるでしょう。

 「男性的欲求に従って物語が進行する」イタリア映画気質と

 軽量娯楽映画のスタイルに「実話系」と言う冠をかぶせることによって

 社会派作品であるかのように装う「娯楽的知略」によって

 人間の暗部を写し出す本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。