映画に感謝を捧ぐ! 「センチメンタル・アドベンチャー」
映画感謝人GHMです。
今回はクリント・イーストウッド監督・主演の「センチメンタル・アドベンチャー」に
感謝を捧げようと思います。
クランシー・カーライルの小説をもとにして作られた本作は
カントリー・ミュージックへの愛と
アメリカン・ドリームに対する「複雑な思い」に彩られた作品であります。
「お涙ちょうだい」と称される映画にありがちな記号「難病」・「子供」を用い
サクセス・ストーリーの方程式に沿って進行するストーリーが
過度の感動誘発&アメリカン・ドリーム礼賛に溺れず
登場人物に対するクールな目線を保ち付ける理性
主人公を「模範的善人」として描かず
優れた芸術的才能と荒れた私生活を共有する人物として描く勇気
1960~70年代のC・イーストウッド関連作の持ち味を総動員しつつ
新境地へと向かう演出・舞台・音楽・キャラクターが
一体となることによって
文学的&人生訓的作品へと進化を遂げる光景は
私に「芸道」に生きる人間の抱える情熱と狂気
架空の物語に「実録級の現実感」を与える映画技法
登場人物の「不幸」を声高に強調することによって感動を強要する難病映画からは得られない
純度の高い感動に包まれた時間をもたらしてくれました。
(「一見すると場違いに見えるが、作品の本質に迫っている」邦題
人生の終わりと始まりが同一であることを示すかのような幕切れ
「人生は有限、芸術は無限」という言葉を象徴するエンドロールも見逃せません。)
まさに「非殺傷系アウトロー映画」兼「西部劇風味の音楽映画」と
呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
後年のC・イーストウッド監督作につながる「鍵」の役割を担う
歴史的作品である本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。