映画に感謝を捧ぐ! 「マンディンゴ」

 映画感謝人GHMです。

 今回はリチャード・フライシャー監督の「マンディンゴ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 カイル・オルストッドの同名小説をもとにして作られた本作は

 華麗な外見の裏に凶悪にして真摯な魂を宿す

 家族劇映画史上最大級の過激作であります。

 人間社会&アメリカ史の暗部を総動員したかのようなストーリー

 (私が1939年の映画「風と共に去りぬ」に感じた違和感の正体を

 イタリア映画&アメリカ映画精神を融合させた形で暴いたという印象を受けました。)

 「華やかにして醜悪な白人&絶望に支配されながらも好感の持てる黒人」という

 アメリカ映画らしからぬキャラクター造形

 場違いなまでに上品+穏健な風景&音楽が

 奇妙なバランスで共存する光景は

 私に、醜悪な状況を美しく表現することによって醜悪さを際だたせる技法

 「恐怖政治」が劣等感と恐怖心の裏返しであるということ

 「環境が人間を作る」というルールの残酷さを目の当たりにする機会をもたらしました。

 (絶望的状況をクールに写し出した幕切れが

 作品のメッセージ性&過激性を高めている点も見逃せません。)

 

 まさに「陰性ホームドラマ」の最高位に位置する怪作であると言えるでしょう。

 見せ物精神と大作的手法の限りを尽くして

 人類史の病理「人種差別・背徳的性行為・歪んだ宗教観&倫理観」を描くことによって

 過酷な運命を歩むことになった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。