映画に感謝を捧ぐ! 「熱い夜の疼き」
映画感謝人GHMです。
今回はフリッツ・ラング監督の「熱い夜の疼き」に
感謝を捧げようと思います。
クリフォード・オデットの同名舞台劇をもとにして作られた本作は
ハリウッド的倫理観と娯楽的スリルの間に立つ恋愛映画であります。
心中に潜む「悪女」に蝕まれたヒロイン・善良で穏健な男
倫理の枠に縛られることなく生きる男が結びつくことによって生じる
人情劇から愛憎劇へと変化していくストーリーを
サスペンス技法全開で描くという試みは
私に「男女関係のサスペンス性」・「人間関係生成&崩壊の過程」を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「身内の助言」を額面道理に受け取ることの危険性に言及している点や
ラブストーリー史上まれに見るほどの「不安感」を宿すハッピー・エンドが
1950年代の映画事情を象徴している点も見逃せません。)
まさに「陰性ラブストーリー界」屈指の技巧性を持った作品であると言えるでしょう。
愛憎劇の王道と「サスペンス映画界の雄」F・ラング監督の技巧が融合することによって
「男女関係の光と闇」を娯楽的にえぐり出した本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。