映画に感謝を捧ぐ! 「レナードの朝」

映画感謝人GHMです。

 今回はペニー・マーシャル監督の「レナードの朝」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 オリバー・サックス医師の医療ノン・フィクションを

 もとにして作られた本作は

 人間社会の苦味と優しさが交錯する

 実話系難病映画であります。

 若き医師達の愛と情熱がもたらした「奇跡」と「悲劇」を

 善悪の二元論に溺れることなく描ききったストーリー

 主演男優R・デ・ニーロの壮絶なる七変化

 「コメディ演技」を封印したR・ウィリアムズによる「静かなる受けの妙技」

 時代の空気を反映しつつ「品」を失わない音楽が一体となる光景は

 私に「失敗=無意味」ではないという事・「人の不幸を見世物化する」娯楽映画の宿命とその意義

 「希望がさらなる絶望を生むこともある」という残酷な真実を

 目の当たりにさせられる感覚をもたらしました。

 (「患者が残酷な現実を受け止め、医者が現実から目をそらそうとする」という

 逆転世界を形成している点や

 悲劇的でありながらも「絶望の中に光を見いだす」に溺れない幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「時間旅行映画・人情劇・残酷劇が共存する」恐るべき作品であると言えるでしょう。

 「善意はハッピー・エンドをもたらす」というハリウッド精神に抗いながらも

 「希望を失わない」ことの大切さを世に示すという離れ業に挑戦した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。