映画に感謝を捧ぐ! 「デッドマン・ウォーキング」

映画感謝人GHMです。

 今回はティム・ロビンス監督の「デッドマン・ウォーキング」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 シスター・ヘレン・プレシャンの同名ノン・フィクションをもとにして作られた本作は

 驚異的なバランス感覚を持った実話系映画であります。

 残酷な状況を穏やかな映像&音楽で写し出していく手法

 宗教映画の衣を纏いながら、犯罪の間接被害と

 「勧善懲悪」に潜む危うさ&虚しさをえぐり出していくストーリー展開

 S・サランドン&S・ペンによる「静かなる熱演」が一体となる光景は

 私に、愛と信念が持つ美しさ&揺らぎやすさと

 我々が「悪の中にも善があると同時に、善の中にも悪が潜んでいる」

 世界に生きているという残酷な事実と

 「死」という存在の重みを目の当たりにさせられる機会をもたらしました。

 (死刑囚マシューに対する「同情」を誘う描写を最小限度にとどめることによって

 作品の説得力を高めている点と

 悲劇的でありながらも「幾多のハッピー・エンドより優しい」

 幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「綱渡り系癒し映画」と呼びたくなる強豪作であると言えるでしょう。

 後年の「ミスティック・リバー」に通じる人員&人間観と

 「冤罪を晴らす勧善懲悪映画」と見せかけて

 善悪の枠を超えた領域へと達する過激さに圧倒される本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。