映画に感謝を捧ぐ! 「その土曜日、7時58分」

映画感謝人GHMです。

 今回はシドニー・ルメット監督の「その土曜日、7時58分」に

 感謝を捧げようと思います。

  

 

 土曜日に起きた一件の強盗事件によって

 もたらされた悲劇を描いた本作は

 1975年のS・ルメット監督作「狼たちの午後」に通じる空気と

 人生のおける「負の連鎖」の恐怖を感じさせる作品であります。

 「時系列&情報」を巧みに操る技術力・「一つの事柄」を多角的に見つめる柔軟性

 俳優・女優陣の「狂気と悲哀に満ちた名演」

 娯楽的盛り上げ&感動誘発を最小限度にとどめる理性によって

 犯罪の間接被害&底なし沼性・「素人犯罪」特有の構造的破綻

 「危険な近道」を選択した人々の足下に広がる「落とし穴」

 「家族」という存在の複雑怪奇さが写し出されていく光景は

 私にS・ルメット監督作特有の「最小限度の時間&空間によって世界の理を見せる」技法と

 

 知的ゲームの醍醐味が奇妙なバランスで共存する状況を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (悲劇的でありながらも「情」を感じさせる決着が

 作品に「神話性」を与えている点も見逃せません。)

 まさに「陰性純文学型犯罪映画」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 生真面目監督S・ルメット氏最後の監督作となった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。