映画に感謝を捧ぐ! 「嘆きの天使(1930年版)」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の「嘆きの天使(1930年版)」に
感謝を捧げようと思います。
ナイトクラブの歌手に魅了された
高校教師の運命を描いた本作は
教訓劇的でありながらも
背徳の魅力を感じさせる恋愛映画であります。
異なる世界で生きる男女の「交流」がもたらした悲劇を
複数ジャンルの演出法を巧みに使い分ける技術力&バランス感覚を
駆使して描くことによって
エンターテインメントの残酷さ・「愛」に潜む落とし穴
肩書きと人間の危険な関係が浮かび上がってくるという状況は
私に「美と醜が隣り合わせの存在である」事を再認識する機会と
コミカルな描写によって物語の悲劇性を高める妙技を
同時体験する機会をもたらしました。
(M・ディードリッヒの持つ「美しさ&悪女性」を花開かせた作品である点
トーキーとサイレントの手法が絶妙のバランスで共存することによって
説明過多に陥ることを防いでいる点
映画史上まれに見る「哀しくもクールな幕切れ」が
後年の映画に対する「道しるべ」となっている点も見逃せません。)
まさに「華麗にして非情な」恋愛映画であると言えるでしょう。
アイドル映画的な華やかさと純文学の重みが交わる形で
「J・V・スタンバーグ監督の運命」を予言する作品となってしまった本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。