映画に感謝を捧ぐ! 「ドクター」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はランダ・ヘインズ監督の「ドクター」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 エドワード・E・ローゼンバウムの自伝をもとにして作られた本作は

 硬軟のバランス感覚に秀でた実話系難病映画であります。

 不幸の強調による感動誘発・ドラマティックな盛り上げ

 二元論的なキャラクター造形・社会派的説教を抑制し

 程よいユーモア・明るい色彩・反技巧的な映像表現を駆使して描くことによって

 難病映画&人情劇の王道を行くストーリーに「説得力」がもたらされていく光景は

 私に「正統派作品の醍醐味」と「医療界の一端をのぞき見る感覚」を

 同時体験する機会をもたらしました。

 (スター的華やかさとは異なる「女性的魅力」を持った女優陣の好演と

 娯楽的盛り上げに背を向けた静かな幕切れが

 作品の持つ「素朴な味わい」を高めている点も見逃せません。)

 まさに「堅実にして知的な難病映画」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 感情を抑制する事が「正義」だと信じてきたドクターの

 秘めたる人間味が開花していく過程を

 ユーモアとシリアスの均整を保ちながら描くことによって

 他の難病映画とは異なる「和やかさ&社会性」を持った作品となった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。