映画に感謝を捧ぐ! 「非情の罠」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はスタンリー・キューブリック監督の「非情の罠」に
感謝を捧げようと思います。
不遇のボクサーに降りかかる災難を描いた本作は
約1時間10分の中に「見せ方&語り方の妙」が光るサスペンス映画であります。
「巻き込まれサスペンス」の王道に沿って進行するストーリーを
時系列操作・マネキンを駆使した「怪奇的表現」
客観映像を主体とした表現法・白黒映像の持つ「陰影」の有効活用
軽妙でありながらも品のある音楽を融合させながら映画化するという試みは
私に、恐怖&スリルの根源は「曖昧さ」にある事と
映画における「見せ方」の重要性を再認識する機会をもたらしました。
(肩すかし的に活用される「ヒロインの過去」
主人公の心の声を多用しながら「語りすぎない」配慮が成されている点
善と悪の間に立つかのようなヒロイン&悪役
「ハッピー・エンド」でありながらも苦味と不安を感じさせる幕切れが
作品の味わいを高めている点も見逃せません。)
本作こそ、サスペンス映画界における「道しるべ作品」であると同時に
運命の残酷さを娯楽的に描いた作品であると言えるでしょう。
単純明快且つスリムな物語の中に
S・キューブリック監督作特有の「意地悪さ」が潜む本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。