映画に感謝を捧ぐ! 「白昼の幻想」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はロジャー・コーマン監督の「白昼の幻想」に

 

 感謝を捧げようと思います。

 

 LSDの虜となった男の運命を描いた本作は

 狡猾にして大胆なドラッグ・ムービーであります。

 「薬物批判」を掲げながらLSDの醍醐味をアピールし

 脈絡のない映像&事柄の連打に

 「ドラッグによる幻覚」という大義名分を与える知略と

 幻惑的且つスピーディーな映像表現・軽妙且つ怪しげな音楽によって

 ドラックの効果に翻弄される男の迷走を

 冒険映画的に描こうという実験精神が一体となる光景は

 私に「映画界の裏街道を歩んできた人々の知恵・観察眼・情熱」に触れる機会と

 倫理の枠を無視して「我流」を貫くことによって

 作り手の意図を超えた「批判精神」を持った作品が誕生する現象を

 目の当たりにする時間をもたらしました。

 (鑑賞者を突き放すかのように訪れる結末が

 ドラッグ依存の恐怖を完結的に示している点も見逃せません。)

 まさに「映画界屈指の情緒不安定度を誇る」怪作であると言えるでしょう。

 ハリウッドの伝統的スタイルに不満を抱く若者達と

 R・コーマン氏との出会いがもたらす化学反応によって

 作品としての質を超越した「価値」を有する作品となってしまった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。