映画に感謝を捧ぐ! 「パラダイス・アレイ」

映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はシルベスタ・スタローン監督・主演の「パラダイス・アレイ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 俳優S・スタローンの初監督作となる本作は

 スポーツ映画の王道に即しながら

 「男心」の光と闇をえぐり出す作品であります。

 「貧すれば鈍する」を象徴するような日々を送りながらも

 家族愛に目覚めていく次男

 堅実な生き方を求めながら「ショー・ビジネス」の闇に飲み込まれていく長男

 穏やかな心と強靱な肉体を兼ね備えたがゆえに「闘いの日々」に

 飲み込まれていく三男の姿を

 アクション映画的手法と人間ドラマ的手法が絶妙のバランスで配合された演出

 娯楽的スリルよりも「肉体のせめぎ合い」を重視したファイト・シーン

 勇壮且つ軽妙でありながらも哀しげな音楽を駆使して描くという試みは

 私に肉体派S・スタローンの秘めたる繊細さと

 スポーツ映画における「舞台&キャラクターの特性」を生かすことの重要性

 1970年代後半のアメリカ映画界を覆う「空気」を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (80年代的ハッピー・エンドの形をとりながらも

 「勝利」よりも「愛」を重んじた幕切れとなっている点も見逃せません。)

 まさに「アクション俳優」のイメージが定着する前のS・スタローンと

 「70年代の終焉と80年代の幕開け」を象徴する

 スポーツ映画であると言えるでしょう。

 S・スタローンが自身の出世作「ロッキー」とは異なる目線で

 裏町に生きる人々の愛と退廃を描く姿に驚きを禁じ得ない本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。