映画に感謝を捧ぐ! 「心の旅」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はマイク・ニコルズ監督の「心の旅」に
感謝を捧げようと思います。
強盗事件に巻き込まれたことによって重傷を負った弁護士と
彼を取り巻く人々の運命を描いた本作は
「悲劇の中に幸福の種子が眠っている」ことを
説教臭を感じさせることなく写し出した
異色の家族劇であります。
「事故」による物理的ダメージよりも
精神的&社会的ダメージに重きを置くことによって
現代社会が抱える「病理」の一端をえぐり出したストーリーと
主演男優H・フォードの放つ「クールな雰囲気&コメディ風演技」が
一体となる光景は
私に、映画作りにおける「演者の特性を生かす」ことの大切さと
娯楽的華やかさ&激しさに背を向け「日々の暮らしを静かに描く」事によって
図式的な物語に人間味を与えていく妙技を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(「楽観主義的ハッピー・エンド」でありながらも
娯楽的盛り上げを抑制した幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「精神重視型難病映画」の雄と呼ぶにふさわしい作品であると言えるでしょう。
二発の銃弾がもたらした「人生の転機」を
ユーモア・人情・風刺性・娯楽性のバランスを保ちながら描ききった本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。