映画に感謝を捧ぐ! 「奴らを高く吊るせ!」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はテッド・ポスト監督の「奴らを高く吊るせ!」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 冤罪によって捕らえられた元保安官の

 奇妙な運命を描いた本作は

 西部劇史上屈指の「暴力性&つかみ所の無さ」を誇る作品であります。

 モンスター級の耐久性能を誇る主人公

 勧善懲悪系でありながら陰鬱なストーリー

 アメリカ西部劇とイタリア西部劇の手法を渡り歩くかのような演出が

 一体となる光景は

 私に、情報化社会によって「アメリカ」の暗部が暴かれ

 映画革命が始まることによって

 変化を余儀なくされた「西部劇」の姿と

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (ホラー風味溢れる最終決戦と

 正統派西部劇の方程式に沿っているにもかかわらず

 苦味を感じさせる幕切れが

 1960年代後半における「西部劇」の苦しみをより鮮明にしている点も見逃せません。)

 まさに「陰性仇討ち西部劇」の一形態を世に示した作品であると言えるでしょう。

 主演男優C・イーストウッドの放つ「反優等生ヒーロー魂」と

 勧善懲悪の爽快感を意図的に抑制する手法が一体となることによって

 暴力の空しさ・大衆の残酷さ・正義を旗印とする人間の傲慢さを写し出す本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。