映画に感謝を捧ぐ! 「情婦マノン」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はアンリ・ジョルジュ・クルーソー監督の「情婦マノン」に
感謝を捧げようと思います。
アベ・プレヴォーの小説「レノン・マスコー」を
もとにして作られた本作は
上品でありながらも挑発的な恋愛悲劇であります。
戦争によって「暴力」に染められた好青年と悪意なき悪女の
美しくも残忍な愛の日々を
ホラー的残酷描写・派手なアクション・過激なラブシーン・説明台詞を抑制し
サスペンス&不条理文学風味溢れる愛憎劇として
映像化するという試みは
私に「戦争と童心を失わない大人の恐怖&残酷さ」と
映像的インパクトに依存することなく
鑑賞者に「恐怖」を感じさせる妙技を
(恋愛劇のハッピー・エンドと怪奇映画のバッド・エンドが
紙一重の存在であることを象徴するかのような幕切れが
感動と後味悪さの入り交じった余韻をもたらしている点も見逃せません。)
まさに「凶悪にして繊細なる純文学映画」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
フランス映画界を覆う「わかりやすい物語&ハッピー・エンド」に対する反抗心と
人類史の暗部が融合することによって
絶対的な善とされている「純愛&子供心」の暗黒面を写し出す作品となった本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。