映画に感謝を捧ぐ! 「マーターズ」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はパスカル・ロジェ監督の「マーターズ」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 性的虐待によって心を病んだ少女「リシュー」と

 彼女を守ろうとする少女「アンナ」の運命を描いた本作は

 鑑賞者の好奇心と罪悪感を刺激する、究極の怪作であります。

 嵐の如く吹き荒れる残酷描写&悪趣味描写と

 「残酷描写&悪趣味描写を見せる口実」の衣を纏いながら

 宗教の暗部をえぐり出したストーリーが一体となる光景は

 私に「好奇心・娯楽的欲求・見世物的サービス精神」の獣性が

 暴走することによって生み出される「混沌&教訓性」と

 見世物性と文学性が共存する世界に翻弄される感覚を

 もたらしました。

 (「死の謎」に近づきすぎた人間の末路を通じて

 人間の探求心を意地悪く皮肉った幕切れと

 

 一滴の血も流すことなく「流血描写」を凌ぐほどの後味悪さを感じさせる

 エンドロールも見逃せません。)

 まさに2000年代流「凶悪宗教映画」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。

 スタッフ陣の芸術的狂気と女優陣の身体を張った狂演によって

 ホラー映画史上屈指の「モンスター」となってしまった本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。