映画に感謝を捧ぐ! 「アンノウン(2011年版)」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はジャウム・コレット・セラ監督の「アンノウン(2011年版)」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 ディディエ・ヴァン・コーヴラールの小説「Hors de moi(Out of My Head)」を

 もとにして作られた本作は

 堅実且つ奇襲的な「巻き込まれ映画」であります。

 

 「巻き込まれサスペンス」の王道に即して進行しながら

 「人間論」の香り漂う真相へと着地するストーリー

 映画的アクションの王道を網羅するサービス精神と

 「段階的に破壊力&暴力性を増していく」事によって物語を盛り上げていく知略を

 兼ね備えたアクション・シーン

 「武闘派ジェントルマン俳優」L・ニーソンの持ち味が一体となる光景は

 私に、情報と記憶の危険な関係・「良心と邪心の対決」を活劇的に見せる手法

 「陰謀に巻き込まれた人間が他者を陰謀に巻き込む」という皮肉な構造を

 前面に押し出す事によって「真相」の説得力&衝撃を高める妙技を

 目の当たりにする機会をもたらしました。

 (「技術は使い手の心次第で善と悪に別れる」ことをクールに示した幕切れが

 作品の文学性を高めている点も見逃せません。)

 まさに「活劇系人間&社会論」と呼びたくなる一品であると言えるでしょう。

 冒険のスリル・「どんでん返し」の驚き・自分自身と向き合う痛み

 情報の渦によって「アイデンティティ」が歪められる恐怖が共存する本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。