映画に感謝を捧ぐ! 「ドリラー・キラー マンハッタンの連続猟奇殺人」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はアベル・フェラーラ監督の「ドリラー・キラー マンハッタンの連続猟奇殺人」に
感謝を捧げようと思います。
ニューヨークの片隅に生きる画家「レノ」の運命を描いた本作は
NYの暗黒面と精神崩壊の構図を
派手な特殊効果&社会派的メッセージに依存することなく描くことに挑んだ
恐るべき怪作であります。
陰性都会派映画の世界から猟奇殺人映画の領域へと突き進むストーリーと
光・闇・音楽・ロケーションの限りを尽くして
NYを「虚実交わる異世界」へと変えていく演出
軽やかに不快感をかき立てる音楽が一体となる光景は
私に、都会生活の暗黒面&不遇の人生によって精神を破壊される人間を
一欠片の同情も感じさせないモンスターとして描く残忍さと
流血&人体破壊に依存することなく
「ホラー的残酷さ」を醸し出す妙技を目の当たりにする機会をもたらしました。
(映像で全てを語らず、鑑賞者に想像させる事によって
残酷さとエロティシズムをかき立てる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「ダーク・ファンタジー系異常心理劇」と呼びたくなる怪作であると言えるでしょう。
幻想的映像・怪しげな音楽・善人不在のキャラクターが
都会の闇をえぐり出す本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。