映画に感謝を捧ぐ! 「フォーン・ブース」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はジョエル・シューマッカー監督の「フォーン・ブース」に
感謝を捧げようと思います。
謎の脅迫者によって電話ボックスに閉じこめられた
宣伝マンの運命を描いた本作は
J・シューマッカー監督&K・サザーランドの名コンビと
「ワン・アイデア&どんでん返しの雄」R・コーエン氏のチームが生んだ
小さくて大きな「状況限定型サスペンス映画」であります。
携帯電話の普及によって消え去ろうとしている「電話ボックス」と
その周辺のみで繰り広げられる攻防を
技巧的映像表現、C・ファレル&K・サザーランドの静動合わせ持つ会話演技
状況説明&娯楽的盛り上げを極限まで抑制する精神力を
駆使して描くことによって
「過剰な情報によって真実が葬られる」・「相手を理解できない」恐怖を
世に示すという試みは
私に「スケール感を抑制することによって物語の幅を広げる」手法の醍醐味
「会話」のドラマ性を有効活用することによって
「爆発&銃撃戦」とは異なるスリルが生成されていく姿
古風な発想を「現代的技法」によって光り輝かせる妙技を
目の当たりにする機会をもたらしました。
(事件解決後の「どんでん返し」によって
脅迫者を「人間を超越した存在」にまで高めると同時に
人間の制御を超えるほどに進化した「情報化社会」の危うさを
再認識させている点も見逃せません。)
まさに「コンパクトな外見の中に深遠なるメッセージを秘めた」
教訓劇であると言えるでしょう。
「誠意のない言葉」によって成功者となった男の末路を通じて
自覚なき悪の存在と怪物化した情報テクノロジーをえぐり出す本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。