映画に感謝を捧ぐ! 「真実の瞬間(とき)1991年版」

 映画感謝人GHM(西村哲也)です。

 今回はアーウィン・ウィンクラー監督の「真実の瞬間(とき)1991年版」に

 感謝を捧げようと思います。

 

 1940~50年代のアメリカで行われた「赤狩り」に翻弄される

 映画監督の運命を描いた本作は

 「自由の国アメリカ」という言葉が

 映画の宣伝よりも胡散臭い「ハッタリ」であるという残酷な現実を

 世に知らしめた「舞台裏映画」であります。

 アメリカ史上最大級の「精神的&社会的虐殺」を

 娯楽的盛り上げを抑制したクールな目線と

 1950年代の空気を体現した小道具・舞台・音楽を

 駆使することによって描くという大胆不敵な試みは

 私に「敵を設定する」事によって発展を遂げてきた国

 アメリカとのつきあい方を考えさせられる機会

 仕事によって形成された人生&人間関係の「秘めたる脆さ」

 懐メロ的華やかさとサスペンス&ホラー的恐怖が共存する感覚を

 もたらしました。

 (「娯楽的高揚感」を包まれた最終局面→残酷な真実を淡々と示した後日談が

 ハッピー・エンドと悲劇を同時体験するかのような後味を放っている点も見逃せません。)

 まさに「社会的&政治的怪奇恐怖」と呼びたくなる挑戦作であると言えるでしょう。

 イラク戦争以降にも通じる「アメリカの社会的暗黒面」を

 娯楽性と社会性を使い分けながらえぐり出した本作と

 生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。