映画に感謝を捧ぐ! 「殴られる男」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はマーク・ロブソン監督の「殴られる男」に
感謝を捧げようと思います。
バッド・シュールバーグの小説「夢やぶられて」を
もとにして作られた本作は
謀略によって作られた「スター選手」の運命を
過激且つ冷静な目線で描いたスポーツ映画であります。
プロ・スポーツ界の腐敗した舞台裏を「腐敗側」の立場に立って描きつつ
勧善懲悪映画へと向かうストーリー
娯楽的迫力や現実感よりも「陰性の暴力」を重視したボクシング・シーン
怪しさに満ちあふれた俳優・女優陣の熱演が一体となる光景は
私に、スポーツ・ビジネスの危険な舞台裏・我々が持つ「娯楽本能」の残虐性
架空の物語に「実録的ムード」を与える妙技を
目の当たりにさせられる機会をもたらしました。
(ハリウッド流ハッピー・エンドに背を向けた曖昧な幕切れが
作品の苦味を高めている点も見逃せません。)
まさに「残酷系スポーツ映画」界の静かなる強豪作であると言えるでしょう。
ハードボイルド系の名優H・ボガード氏の遺作にして
後年のスポーツ映画に対する「道しるべ」の一つである本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。