映画に感謝を捧ぐ! 「哀しみのトリスターナ」
映画感謝人GHM(西村哲也)です。
今回はルイス・ブニュエル監督の「哀しみのトリスターナ」に
感謝を捧げようと思います。
ベニート・ペレス・ガルドスの小説をもとにして作られた本作は
上品にして過激な愛憎劇であります。
嵐の如く二転三転する人間関係の果てに訪れる「静かなる悲劇」を
L・ブニュエル監督作としては珍しいほどの「正攻法」で
映像化されていくという奇妙な現象は
私に「条理と不条理が混ざり合う」状況と
登場人物の力関係と共に「自分自身の目線」が変化していく感覚を
同時体験する機会をもたらしました。
(美しくもブラック・ユーモア的な邦題と
流血や人体破壊を用いていないにもかかわらず
「ホラー映画級の残酷さ」を感じさせる幕切れとなっている点も見逃せません。)
まさに「純文学系残酷恋愛劇」と呼びたくなる作品であると言えるでしょう。
運命に翻弄される女性が「男を惑わせる天然悪女」へと進化していく姿を通じて
男性の繊細さと女性の強さを浮かび上がらせる本作と
生きて映画を見ることの出来る幸せに深い感謝を!!!。